2018年4月4日掲載
Richard Davis         Blue Monk
King原盤              2007年11月録音

 キングの「低音」シリーズを「今日の1枚」で取り上げるのは、これで7作目になります。その中でリチャード・デイヴィスは3作目となります。今回はジュニア・マンスとコンビを組み、スタンダードを中心に8曲を録音しました。

 解説を増本義隆氏が書いていますが、この二人の共演は2007年の富士通コンコード・フェスティバルへの出演が、増本氏とジャズ・プロモーター石塚氏との縁で決まったそうです。別々のフライトで来た二人が成田空港で会ったのは40年ぶりだったそうです。常に一線で活躍して来た二人なので、少し不思議な気分で、この増本氏の解説を読んでいました。

 勿論この機会をキングの森川進氏が見逃すわけなく、この作品が誕生したのでした。

20180404

 森川氏プロデュースなのですが、主役リチャード・デイヴィスに作品制作の権限が委ねられていたと感じる作品です。デイヴィスのベースの存在感が、低音の魅力という本シリーズの意図ではなく、ベースでの表現力という点で顕著に現れております。そんな演奏と、マンスとの掛け合いで曲の魅力を掘り下げていく演奏が交互に提示され、静かに楽しみながら聴き終える作品となっています。後者の魅力の「ブルー・モンク」、前者の圧倒感の「サマータイム」と続く冒頭の2曲で、聴き手の心をしっかりとつかんでおります。