2016年5月10日掲載
Serge Chalof   Blue Serge
Capitol原盤          1956年3月録音

 バリトン・サックス奏者のサージ・チャロフは勿論有名なお方ですが、この「今日の1枚」でリーダー作を取上げるのは初めてなので、「新・世界ジャズ人名辞典」から経歴を紹介します。 
 1923年にボストンに生まれ彼は、父親がボストン交響楽団のメンバー、母親がニューイングランド音楽院でピアノ教師をしているという、音楽一家で育ちました。バリトン・サックスを吹き始め、16歳の時にはバンドに参加、1940年代にはジミー・ドーシーやウディ・ハーマン等の有名バンドで活躍していました。1950年にベイシー楽団で活躍した後にボストンに戻り、教育活動の傍らレコーディングも行っていたとのことです。その後体調を崩し、1957年33歳の時に亡くなりました。
 本作品吹き込み時には既に思うような体調でなかったとのことです。 バックは、ソニクラ,ヴィネガー,フィリーという豪華な方々が努めています。

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 アルファベット表記をカタカナにする際の難しさは常にあるものです。私はシャロフと表記している自分の中でずっと思ってましたが、正解というか一般的にははチャロフとの表記です。最もChaloffというスペルからすれば、当然のことでしょう。

 さてそのチャロフさんの演奏ですが、暖かさが溢れ、軽快にメロディを奏でるものです。バリトン・サックスの特徴を押し出したものではないが、ブローする場面では迫力ありです。選曲も幾つものタイプの曲を並べており、口ずさみながら聴けるものです。バック陣に特段のソロ・スペースを与えてはいませんが、その快演は流石のもの。この人が40歳代になったら、1960年代のジャズ界の中でどんな演奏をしていたか、そんなことを思い浮かべました。