2009年1月12日掲載
Eric Alexander         It's All In The Game
High Note原盤          2005年7月録音

 エリック・アレキサンダーの作品は過去に、単独名義だけで8作取り上げています。今の予感ですが、今後は共演者や選曲等で特に気を引く作品で無い限り、彼の作品は購入しないのではと思ってます。 今日取り上げるのは、2006年春に購入したものです。参加メンバーは、Harold Mabern(p),Nat Reeves(b),そしてJoe Farnsworth(d)であります。

 さてこの作品を含めて好きで買っていたエリックなので、当然ながら彼の演奏は好きであります。しかし、ずば抜けた傑作というのに出会えない。そこがもう買わないとと書いた理由です。この作品には、今までの彼以上の何かを期待して聴いてみます。収録曲は全8曲。エリックのオリジナルと、スタンダードが交互に配置されています。

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 1曲目はベン・ウェブスターの演奏でお馴染みの『where or when』ですが、恋の様子をかなりスインギーに演奏しています。またその演奏は、期待通りというか、いつも通りの溌剌さであります。

 2曲目のエリック作『Typhoon 11』は、アップテンポのミステリアスな曲。前曲との繋がりは無し。

 3曲目の『where is love』は、ミドル・テンポ演奏されているラブ・ソングです。前曲の辛さからの繋がりに、心地よさが配置されています。

 4曲目は、歌いあげたくなるようなタイトル曲。ゆったりと演奏されているこの曲は、どこかの地方のトラディショナル曲のような郷愁を感じます。エリックの堂々と故郷に胸を張っているようなこの演奏で、もしLPならばA面が終了。LPと考えるならば、この4曲目のために、前3曲をしっかりと準備して揃えたような感じです。

 お次はエリック作の『open and shut』で、勢いよく飛ばしている曲。威勢の良いエリックのソロは中々のもの。この次は、モンクの有名曲『Ruby My Dear』です。通常演奏されるこの曲のテンポよりも、かなり早いテンポで演奏されており、前曲からの勢いの良さがそのまま継続。

 ところが続くエリック作の『Little Lucas』では、曲も演奏も魅力なしに陥ってます。テンポは速めですが、それまでの勢いを消してしまうもの。そして最後になる『Bye Bye Baby』では、前の曲の印象を引きずって、インパクトの薄いアップ・テンポの曲で終わってます。

 さて前半、つまりLPでいうA面は、なかなか展開が楽しめるもの。しかし後半のB面は、全編通してアップ・テンポを揃えたせいなのか、後半には失速してしまっている出来。