これは当初ジム・ホールの公式サイトでの販売のみでした。SJの輸入盤コーナーに、そんな記述で紹介されていました。
確か2005年頃に渋谷ジャロさんに伺った際に、店内でこの作品が話題になっていました。お客さんはギター好きのセミ・プロ級の方と私だけ。店主が、SJを見た客からこの盤を注文されて困っているんだと言いましたら、ギター好きの方がネットでこの盤を注文し入手済み、しかも複数枚頼んだとのこと。話はすぐまとまり、ギター好きの方の1枚が、お店経由で、他のお客さんのもとに渡ったのです。ここでは書けませんが、結構な値段でありました。
それから数年して、一般にこの作品が購入できるようになりました。原盤をartistShareと書きましたが、ジム・ホールの公式サイで販売していた時は、レーベル名無しだったのかも知れません。Scott Colley(b),Lewis Nash(b)とのギター・トリオであります。
ジム・ホールは1950年代から活躍し、本作品が吹き込まれた時点では73歳であり、この半世紀の間に膨大な作品を残してきました。また73歳の時でも、レコード会社から作品発表を行っておりました。そんな中で自主製作の形で発売するのに、なんらかの意味がこの作品に込められたのでしょう。私はホールの膨大な作品のごく一部に接してきただけですので、多くを語ることは出来ません。あえて言うならば、この作品はホールにとってのロック界で一時流行った“アンプラグド”の意味合いがあったのでしょう。自宅に知人を招いて、寛いだ雰囲気で、制約を一切受けずに自分の思うがままの演奏を繰り広げたかったのでしょう。11分に及ぶ『ボディ&ソウル』の演奏。ジャズ・スタンダード中最も美しいバラッドと言われるこの曲を、メロディを慈しむようにホールは演奏しております。ホールがこの曲を愛している姿は、派手なことをせずに、優しさだけをこめた演奏の中に感じ取れます。