2016年7月7日掲載
Curtis Amy & Dupree Bolton    Katanga!
Pacific Jazz原盤                             1963年2月録音

 カーティス・アミーについては先日取上げましたので、コ・リーダーにクレジットされているデュプリ・ボルトンについて、「新・世界ジャズ人名辞典」から簡単に紹介しようと思ったのですが未掲載ですので、国内廉価盤での岡崎氏の解説から少しばかり引用します。
 1929年にオクラホマで生まれたボルトンは10代でプロ活動を始めましたが、早くからドラッグに手を染め何度も逮捕されており、一線での知名度は全くありませんでした。ブラウニー以来の逸材と評されることもあったようですが、何しろ刑務所や厚生施設での生活が長く、彼の名前の出ようがなかったようです。 
 その中で彼の名前が残っているのは、たまたまLAの黒人地区クラブでの演奏がハロルド・ランドの認められ、ハロルドの「フォックス」の吹き込みに参加したもの。その後にサン・クエンティン刑務所から出た後に吹き込まれた本作品であります。


 因みに「フォックス」はこの「今日の1枚」133枚目として1999年6月22日に取上げましたが、私はボルトンの演奏を酷評しておりました。

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 1曲目はボルトン作のタイトル曲で、爆走感がたまらない演奏です。出だしはボルトンのソロでそこそこ聴かせますが、最も酔うのは随所に挟まれる2管によるテーマ演奏です。アーミーの音色が素敵です。バラッドではスタンダードの「You don't know what love is」に痺れます。出だしのギターに続くアーミーのテーマ演奏とソロで描かれる世界にうっとりします。ボルトンのソロも聴けますがアーミーの前では霞んでしまうものです。

 さて本録音の後、ボルトンは再び刑務所へ。その後の消息は分かりません。ボルトンについて国内盤帯には「幻の名トランペッター」とありますが、私にとっては、印象に残らないトランペッターということになります。