2009年5月10日掲載
Bud Powell       A Portrait Of Thelonious
CBS原盤            1961年12月録音

 1959年からパリで生活していたパウエルの録音の中でも、評価の高い作品を取り上げます。ピエール・ミシュロ(b)とケニー・クラーク(d)とのトリオ作品で、タイトルの通りにモンク集となっています。

 さてパリ時代のパウエルの演奏を、大江健三郎は見たことがあり、「老いたせいうちのように重たい体を引きずったパウエル」とエッセイ集の中で書いております。パリでの10年間は、この老いたせいうち状態が多かったのは、事実のようです。

20090510

 風格があり、達観した者が到達する境地を感じさせる、重厚な演奏です。クラークの好サポートも光っています。また素晴らしいのは、特徴が強いモンクのメロディをパウエルは、完全に自分のものにしていること。ピアノ・トリオでのモンク集として、正しく最上級の出来であります。

 なお拍手が聞こえますが、これはライブ風を演出するために加えたものだとか。そんな小細工はしないで欲しかったです。