1966年にイタリアでティト・フォンタナ氏が、ディレというレーベルを発足させました。1980年末頃までジャズ作品を60作ほど制作してきたレーベルですが、その後はクラシック制作に移ったとのことです。しかしながらマイナー・レーベルの宿命か、それらの作品は一部の好事家だけが知る存在だったのです。 そんな作品が日本で紹介されたのは、1999年にサウンドヒルズから15タイトルが発売された時でした。
今日紹介するレナータ・マウロさんの作品もそんな時期に購入した1枚なのですが、何故だか「今日の1枚」で取上げておりませんでした。今その理由を思い出しておりますが、多分イメージが違っていたからでしょう。スイング・ジャーナルの紹介記事を読み、欧州女性歌手の1970年頃の不思議な雰囲気を想像し購入したものの、いざ聴いてみると余りに内容が違って、掲載を先延ばしにしてしまったのでしょう。
そんな躊躇から15年経って何故取上げるかと言えば、ビリー・ホリデイさんと同様の理由、「つまみ食い」「Easy Living」だからです。
彼女の経歴に関する情報は殆どないようで、杉田氏のCD封入解説によると、イタリアでTV番組司会をしたりと活躍していたが1970年代後半に第一線を退き、その後の消息は一切分からないとのことです。
彼女の歌はそこそこ上手く、感情移入が強めの、語りかけるかのような印象を受けるものです。選曲からするとペギー・リーやビリー・ホリデイがお好きな方のようです。「One For My Baby」「My Man」「It Never Entered My Mind」の流れが、印象に残りました。
余談ですが、さて先に書いた、15年前に「今日の1枚」でこの作品を取り上げなかった理由は、どうも違っていたようです。