凝ったジャケットのつもりなのでしょうが、僕には高校生が美術の時間に作りそうなものに感じてしまいます。
余談はさておき、主役はサックス奏者のヨキ・フロイントと発音するドイツの方です。1926年生まれで、最初はアコーディオンを習っていたとのこと。大戦末期にテナー・サックスを始め、1950年代前半にはユタ・ヒップと共演しておりました。ゲッツ的なスタイルの1950年代に対して、1960年代はコルトレーンの影響を受けていたとのこと。
Emil Mangelsdorff(as,fl),Wolfgang Dauner(p),Eberhard Weber(b),Karl Theodor Geier(b),Peter Baumeister(d) との録音です。ベースが2名参加していますが、二人一緒に演奏しております。
この作品を聴いていて、ドイツのオーディオ会社ブルメスターのアンプ外観を思い出しました。シンプルで美しく、職人魂の塊のようなものです。ヨキのテナー・サックスからも、マンゲルスドルフのフルートからも、そんな印象を強く感じます。アメリカの汗が飛び散る熱気ではなく、静かに内面から訴えかけてくるような、怖さすら感じる演奏です。そこにダウナーの前衛的なピアノ、そして2本のベースの効果がが重なり、聴き応えある作品になっています。スタンダード曲の『キャラバン』と『キラー・ジョー』での演奏において、そんな彼らの特徴が顕著に発揮されています。最も気に入ったのは、マンゲルスドルフのフルートが頭から離れなくなる『ザ・カラビアン・リンゴ』でありました。ドイツの逸材が揃った作品とも言えるのでしょう。