イギリス・ジャズ界のサックス奏者としてドン・レンデルは、重鎮的存在のお方です。1954年録音の名盤「Meet Don Rendell」やイアン・カーとの諸作品を、今まで取り上げてきました。しかし彼の近年の作品を取り上げるのは、初めてとなります。
この作品には、二つのセッションが収録されています。Steve Waterman(tp,flh),Chris Kibble(p),Mario Castonari(b),Paul Robisnson(d),そしてChristine Tobin(vo)を加えて1993年5月に録音されたもの。7曲あり、歌入りは2曲だけです。
もう一つのセッションは1996年1月に行われたもので、Art Themen(ss,ts),Nick Weldon(p),Jim Richardson(b),そしてSimon Morton(d)との録音で、5曲収録されています。
このCDは1996年に発売されましたが、私が購入したのは最近の再発によるものです。
1993年の録音は、スイング感のある明るい演奏で、トランペットのSteve Waterman の活躍が目立つものです。1996年の方はハードバップの演奏が主で、レンデルのフルートが心に深くしみいる『Antibes』が印象的です。80分近い演奏時間で、少々飽き気味になる場面もありますが、イギリス・ジャズがお好きな方には、見逃せない作品と言えるでしょう。いろんな意味で、年取ったレンデルが味わえます。