この「今日の1枚」でロイ・エアーズさんの作品を取上げるのは、初めてです。彼は1940年にLAに生まれ、最初に手にした楽器がギター、ピアノも学びながら、ヴァイブを演奏するようになったのは二十歳の時のことでした。2年間でこの楽器をものにし、LAのクラブで演奏を始めました。その頃一緒に演奏していたカーティス・アーミー(ss,ts)やジャック・ウィルソン(p)と、彼の第一作を録音したのです。今日はそんな作品を取上げます。
「今やクラブ・シーンで人気沸騰」と廉価盤CDの帯に書かれていますが、この作品ではなく、エアーズさんのことなのでしょう。慣れない発音のクラブには行ったことはありませんが、私のイメージは、DJがターンテーブルを逆回転させてシャカシャカ、踊る人は大音量のリズムで高揚感に浸りながらゆっくりと体を動かし、朝方に高揚感疲れで帰宅するとのものです。流石にこの作品では無理でしょう。
アップ・テンポでの素早い演奏のエアーズさん、スタンダードの「It Could Happen To You」、パーカーの「Donna Lee」、そしてエアーズさん作の不思議な中南米風「Ricardo's Dilemma」と続く中盤の展開に、そんなエアーズさんの魅力が詰まっています。