2016年11月5日掲載
Marvin Smitty Smith        Keeper Of The Drums
Concord原盤                     1987年3月録音

 先ずは参加メンバーの紹介を。スティーブ・コールマン,ロビン・ユーバンクス,マルグリュー・ミラー,ラルフ・ムーア,ロニー・プラキシコ,そしてウォレス・ルーニーという方々です。この時代に光り輝いた方々が、オールスター出演となっております。 ファースト・コール・ドラマーの、初リーダー作品です。

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「ジャズはとにかく気が付いたらいつも聴いていたね。というのも親父がジャズ・ドラマーだから、家ではいつもジャズがかかっていた。プロとして演奏し始めたのは14歳の時からだ。何とビッグ・バンドだったんだよ、これが。というのもそれには理由があるんだ。15際にならないとユニオンへ入れないんで、スタジオ・リハーサル・バンドのメンバーとして活動をスタートさせたわけさ。またクラブ・ギグなんてできる年じゃなかったからね」。

 小川隆夫さんの解説から引用したこのマーヴィン・スミティ・スミスのインタビューは、小川氏が1986年初頭に行ったものです。当時は24歳のスミティ・スミスの、それまでの経歴が頭の中に浮かんでくるものです。

 当時のNYジャズ界の若手の台頭を、日本では、というよりSJ誌では新伝承派と呼び盛り上げていました。これを悪く言う向きもあり、その内容は1950年代黄金期の上っ面をなぞっただけであり、熱気は感じられないとのものでした。私は、自分がジャズを聴き始めてから初めてのムーブメントであり、また新譜買いの面白さに目覚めていた時期であり、この新伝承派の方々の作品はそれなりに購入し、それらをこの「今日の1枚」で取上げてきました。

 それから30年、当時のメンバーは今やベテランとなり、彼等を生で見て育った世代が、今のジャズ界の中心となっているのでしょう。

 今、その時代の代表作の1枚をこうして聴いてみると、時代の勢いを感じる演奏に聴こえます。何とかして世の中に出ようとの若者の勢いの演奏は、今聴いても衰えてません。