2015年11月1日掲載
Benny Golson & The Philadelphians
Liberty原盤       1958年11月録音

 リー・モーガン,レイ・ブライアント,パーシー・ヒース,フィリー・ジョー・ジョーンズという名プレイヤーと録音した、ベニー・ゴルソンの作品を紹介します。
 歴史的録音である「モーニン」から、そのセッションで一緒だったモーガンとの吹き込みです。これだけでも内容に興味津々です。それに加えて私が持っている、数年前発売の廉価版には追加収録が4曲あります。このコーナーでは追加だとか別テイクとかはあまり触れないようにしてきましたが、この作品の関しては興味深いものなので、触れておきます。
 この作品を吹き込んだ翌月に、ゴルソンはジャズ・メッセンジャースの1ヶ月欧州楽旅に参加しています。その際に、ボビー・ティモンズと共に、パリで現地ミュージュシャンと録音した4曲が、追加曲になります。メンバーは、ロシュ・ゲラン(tp),ピエール・ミシュロ(b),クリスチャン・ゲロ(d)です。曲は「ブルース・マーチ」「クリフォードの想い出」「モーニン」「ステイブルメイツ」というのも、興味深いものです。

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 この欧州楽旅を終えてすぐ、ゴルソンはジャズ・メッセンジャースを離れます。廉価盤CD解説によればその理由をゴルソンは「ブレイキーの強烈なドラムに負けじと吹いていると、自分本来のソフトでスムースな持ち味を見失ってしまいそうになったから」と述べています。
 本作品での「Thursday's Theme」を聴くと、このゴルソンの言葉の意味がよく理解できる、センスの良いアンサンブルと語りかけるアドリブが楽しめる演奏になっています。この曲はゴルソン作なのですが、ジャズ・メッセンジャースでは吹き込みがなく、恐らくは自分のリーダー作品のためにあたためていた曲なのでしょう。
 そして追加曲。ジャズ・メッセンジャースのこの欧州楽旅の演奏のもようが、フォンタナ等のレーベルから数作品発売されています。勿論その中に「クリフォードの想い出」も含まれてます。そこでの演奏と、ゴルソンがティモンズと欧州奏者と吹き込んだここでの追加曲を聴き比べてみると、先のゴルソンの言葉がより一層理解できます。そんなこんなの聴き比べを通してゴルソンの持ち味を感じ取れた、今日の1枚でした。