ジャケットの記載から、恐らくこの作品は、1993年に発売されたと思います。渋谷ジャロさんの新譜コーナーにこれが飾ってあったのでしょうけれど、この時期は私の最初の香港赴任時期ですので、目にしないままになっておりました。ラウズが参加している作品ですから、目にしたら買っていたことでしょう。
参加メンバーは、Sahib Shihab(bs),Claudio Roditi(tp,flh),Walter Davis Jr(p),Santi Debriano(b),そしてVictor Lewis(d) であります。
今から2年ほど前に、この作品が再発されました。根強い人気があった作品ということなのでしょうか。ネット上からの情報だと、録音された年にラウズが亡くなり、翌年にはサヒブ・シハブ、さらに1990年にはデイビスが亡くなったとのこと。3人はこの作品の発売と、その人気ぶりを知らないまま亡くなったのです。
ラウズとシハブがメロディを交差させながら、迫力のあるリズムをつけてテーマを演奏する姿。その後の会心のアドリブ。こんな展開が聴けるファースト・テンポの曲が、この盤の魅力でしょう。『November Afternoon』と『DiDa』が、そんな意味での素敵な演奏です。ソロと言えばデイビスのピアノも、二人に触発されて熱が入ったものになっています。
それぞれ60歳代半ばで亡くなっているため、この時には体調も優れなかったのかもしれません。しかしこの素敵なセッションによって、長年のジャズ魂が火を噴いたような演奏です。愛聴盤がまた一つ増えました。