廉価盤CDの封入解説から、ビリー自身が本作品についてのコメントを紹介します。
「私は子供の頃からジャズ・ピアノを楽しんで弾いてきた。それはいつも非常に楽しくて、他の人々とその気持ちを分かち合えるのが素晴らしい。理解力に富んだ観衆との対話と協調は、アーチストに閃きを与え、とても興奮するパフォーマンスをもたらす。演奏者と聴き手の双方にとってエキサイティングなものを、レコードの中でこのような感覚を表現するのは難しいけれど、今回スタジオに入ってそれを成し遂げられたのは珍しいことと言っていい。それが本作を『One For Fun』と名付けた理由なのだ」。
ジャズ界のスポークスマンと言われたビリー・テイラーが37歳の終りに吹き込んだ、トリオ作品を聴いてみます。
この作品の魅力は、軽やかに心地よくでしょう。コール・ポーター作の「At Long Last Love」ですが、シナトラの歌やグラント・グリーンの「抱きしめたい」で有名な曲ですが、この曲の魅力を楽しく表現しているビリーさんの演奏も、この曲の代表的演奏に加えるに相応しいものです。ベースとドラムもビリー色を際立たせる素敵なもので、ピアン・トリオの好盤とも言えるでしょう。