ジェローム・リチャードソンのこのリーダー作品は、レス・スパン(fl,g),リチャード・ワイアンズ(p),ヘンリー・グライムス(b),そしてグラディ・テイト(d)と吹き込んだものです。数年前に廉価盤発売で購入しましたが、帯には「映画音楽ジャズの知られざる傑作」とあります。しかしオリジナル発売以降、世界中で、LP・CD問わず再発されたのは、この廉価CDが初めてとのこと。帯の謳い文句は過大表現ですが、中身は如何なものでしょうか。
映画「危険な関係」の「ノー・プロブレム」、映画「ティファニーで朝食を」の「ムーン・リバー」、映画「日曜はダメよ」の同名主題歌、映画「ウエストサイド物語」の「トゥナイト」、映画「サムソンとデリラ」の「デライラ」の5曲が演奏されています。「デライラ」以外の4曲は誰もが馴染み深い曲でしょうし、どれも素敵なメロディであります。この中でもリチャードソンのバリトン・サックスでのソロが光る「ノー・プロブレム」が白眉でしょう。全曲でも30分を切る演奏ですが、ワイアンズのピアノも光り、楽しめる作品となっています。