チャールス・ベルというピアノ弾きのこの作品、とっくに「今日の1枚」で取上げたと思っていました。掲載リストへの書込み漏れと思い、手作業で調べたのですが、見当たらず。今日こうして取上げますが、二重掲載かもしれないこと、ご容赦を。
「新・世界ジャズ人名辞典」によれば、1933年にピッツバーグに生まれたベルは、14歳からピアノを始め、地元の工科大学で作曲法を学び、卒業後に自己のバンドで演奏活動を行い、1960年の大学でのジャズ祭で自己のコンテンポラリー・ジャズ・カルテットで参加し最優秀グループ賞となり、それを機にCBSへの吹き込み機会を得ました。それはダウンビートで最高点を得て、ワシントンでの世界ジャズ祭に参加しました。また作曲家としても評価され、ピッツバーグ交響楽団との共演作もあるとのことです。
なお「新・世界ジャズ人名辞典」では本作品はベルが学んだ工科大学での録音となっておりますが、クレジットではカーネギー・レクチャー・ホールでの録音となっています。確かにカーネギー・レクチャー・ホールはピッツバーグにあるのですが、工科大学のホールなのかは確認が取れませんでした。
ベルが30歳の時のピアノ・トリオでのライブです。
控えめで地味でオーソドックスなピアノとの印象で聴き進むのですが、右手のシングルトーンが印象に残りながら盛り上げていく場面があり、それなりに聴き所がある作品です。
さてこの作品ですが、オリジナルはほぼ市場に出ないもの。国内での発売は、1974年にあったとのことですが、これも枚数の少なさからか、中古市場に殆ど出ないもの。そして私の持っているCDは、1989年にDIWから発売されたものです。その後も2000年に入りLP復刻もあったとか。それなりにこの作品の需要があるようなのですが、そんなことが念頭にありながら聴き進めていくと、「Work Song」「Whysper Not」と続く展開が面白いもの。何んとなく個性があるピアノの素振りを見せているあたりが、その需要のポイントなのでしょうかね。