2016年5月11日掲載
Kenny Dorham & Jackie McLean Inta Somethin’
 Pacific Jazz原盤    1961年11月録音

 ドーハムとマクリーンの双頭コンボです。国内盤CD解説の藤本氏が、ドーハムの共演するアルト奏者への思い、マクリーンの共演するトランペット奏者への思いを、興味深く書かれてます。 
 ドーハムが脚光を浴びたのは、マイルスの後任としてパーカーのグループに加わった時です。マクリーンが脚光を浴びたのは、マイルスのバンドに入った際のことです。それぞれのキャリアが光り始めた瞬間に一緒だった偉大な奏者の存在があるため、それらのグループを辞した後も、同楽器の共演者に大きなものを求めてしまうのだろう。この二人が惹かれあいながらその関係が短命に終わったのも必然のことと、書いてます。 
 そんなことを頭の片隅に置きながら、聴いてみます。

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 これはジャズ好きならば、1950年代好きならば、誰もが気に入る1枚でしょう。1曲目の「US」はドーハム作のもので、あの「Una Mas」の異名同曲ですが、分厚い熱気に満ちた演奏です。SFの「ジャズ・ワークショップ」でのライブということで、より一層熱が入っていったのでしょう。全体を通して残念なのは、ドーハム抜けが2曲、マクリーン抜けが1曲あることです。全6曲の半分がこの「抜け」ですので、やはり二人のぶつかり合いが聴きたかったところです。

 さてこの双頭グループのその後ですが、1962年4月にドーハム名義の「マタドール」をUAに、その2か月後にはマクリーン名義の「ジャッキー・マクリーン・クインテット」をBNに吹き込み、その活動を終了しました。

 長続きしなかった理由についてCDで解説を書いた藤本氏は、「ビ・バップの語法を頑なに守り続けるドーハムに物足りなさ、フリーキーな方向に突き進むマクリーンについていけない、とそれぞれ思ったのでは」と書いてます。

 この作品を含め3枚を聴いたのですが、実に頷けるコメントです。