2016年1月3日掲載
Ted Curson    The New Thing & The Blue Thing Atlantic原盤    1965年録音

 テッド・カーソン(tp),ビル・バロン(ts),そしてジョルジュ・アルバニタス(p)が参加している作品と聞いただけで、興味津々となってしまいます。 さてタイトルの意味ですが、The New Thingとはモードやフリーといった1960年代のジャズの新しさ、The Blue Thingとはジャズの伝統的な面を指していると、岡崎さんが解説で述べております。

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 カーソンはフィラデルフィアからNYに出て、ガーランドなどと演奏しておりましたが、セシル・テイラーから影響を受け、またミンガス・バンドではドルフィーの影響を受け、新たな表現方法を目指しておりました。そんなカーソンの本盤におけるトランペットは、ハード・バップで築かれた語法を軸にして、重量感ある独自の世界を表現しています。

 本作の重要メンバーであるバロンは、1960年からカーソンと双頭バンドを組んでおり、気心知れた仲。バロンの悩ましげで色気あるサックス演奏が、本作品の価値を高めています。

 ピアノのアルバニタスは、カーソンがパリのクラブでの彼の演奏を気に入り、アメリカ・ツアーに誘われたのでした。綺麗で不思議な魅力のピアノは、本作品を一層引き立てています。

 ベースとドラムもカーソンと活動していた方なので、演奏のまとまりも流石なもの。時代を感じさせますが、本作品が素晴らしいものになっているのは、各奏者のしっかりした土台と、息の合った仲でのものでしょう。