本作品は、ブルー・ミッチェル(tp),ジュニア・クック(ts),ジーン・テイラー(b),そしてルイス・ヘイズ(d)とのクィンテットでの2作目になります。
さてマイケル・カスクーナによればシルバーは、実に細かな準備をして、アルバム制作に望んでいたそうです。本作でもドン・ニューイという方が『ハウ・ディド・イット・ハップン』と言う曲を本盤のために書いていたのですが、結果的にアルバムに入れないままになったとのことです。その曲はブルー・ノートの倉庫で眠ったままになり、1979年にようやく陽の目を見たそうです。それはシルバーの未発表曲集『スターリング・シルバー』と言う作品で発表されましたが、私が持っているCDには別テイクして収録されています。
油井正一と大橋巨泉が数寄屋橋にあった外盤専門店に入った際に、油井氏がこの作品を眺めていると、巨泉は「それは傑作ですよ、ぜひ買いなさい」言ったそうです。
「シスター・セイディが最高で、リフ・メーカーとしてのシルバーを堪能出来ますよ」と続けて言ったとか。確かに喜びにあふれたこのメロディから飛び出すシルバーのリフは、陽気に踊り続ける女性をイメージするものです。
私のお気に入りは『ブレイク・シティ』での、クック~ミッチェル~シルバーと続く、必死さと情熱が交差するソロの展開であります。また未収録曲も、オリジナル作品に収められていても不思議ではない内容。ジャズ黄金時代の代表作の1枚と言えるでしょう。