デンオンがジャズ・レーベルとして積極的に作品を残していたのは、1980年代のことなのでしょう。そんな活動の20周年を記念して、2006年に紙ジャケCDで発売されたものを私は、中古コーナーで入手し、そのまま聴かずに寝かしていました。
恐らくかなり安い値段で買ったことだと思います。 Steve LaSpina(b),Joey Baron(d),そしてTom Harrell(tp)との録音です。トム・ハレルとの共演が謳い文句の作品であります。
ジム・ホールがキャンバスに淡い色で小さな街の絵を描き、トム・ハレルが少し濃い色でそこで暮らす人間を描き加えていく、全編を通して聴き、そんな印象を持ちました。ベースとドラムが加わることでその絵はポップな雰囲気になっていきますが、最も印象に残った演奏はジム・ホールとトム・ハレルのデュオ演奏の「Something Tells Me」でした。ジムの奥さんが作ったバラッドですが、小さな街にある楽しさが、僅かな哀しみを加えて感じられる演奏です。
個展の中での光る1枚の絵といった思いで、聴き入りました。