2016年9月8月掲載
Steve Grossman   Way Out East Vol.1
Red原盤                   1984年7月録音

 既に30枚を超えるリーダー作を発表し続けているスティーヴ・グロスマンの作品です。豪快テナーとの印象の方ですが、過去にこの「今日の1枚」で取上げた3枚の作品では、豪快という意味では期待外れでした。
 Juni Booth(b)とJoe Chambers(d)と吹き込んだこの作品は、どんな内容でしょうかね。

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 テナー・サックス・トリオでこのアルバム名ですから、ロリンズを意識しての作品であることは間違いなし。ロリンズはグロスマンのアイドルなのでしょう、思いっきりロリンズ好きを出した演奏です。

 この作品は、1970年代後半からアルコール障害で現役を退いていたグロスマンの復帰時期のものです。いろんなグロスマンの思いがこの作品に詰まっております。

 またこの作品、つまりテナー・サックス・トリオ作品が存在意義を持つためには二つの要素が必要になります。一つ目は、サックス演奏自体に個性があること。ロリンズ好きを前面に出しながら、悩みから脱していくグロスマンの喜びと勢いが感じられる演奏になっています。二つ目は、ベースとドラムとの関係が素晴らしいものであること。堅実なベースに、飛びまわるドラム、それに喜びサックスが絡み合い、素敵なテナー・サックス・トリオ作品になっております。