渋谷ジャロさんでは、店内に流すために選んだLPを5枚ほど、店主席の真横に置いてある。ある日中古レコードを整理していた店主が、日本人リーダーの作品を引き抜いて、店主席の横に置いたのである。誰の作品かは忘れましたがグロスマンがサイドで参加している1970年代中頃のもので、店主の「これでグロスマンを知ったヤツが多いんだよな」と言ったことを今でも覚えている。
ついこの間のように思っていたが、考えてみれば今日取り上げるグロスマンの作品が吹き込まれたのより、だいぶ前の事。バリー・ハリス(p),レジー・ジョンソン(b),アート・テイラー(d)と臨んだワン・ホーン作品です。まぁ、これが1000円で置いてあれば、即買いで当然のことでしょう。収録曲は、モンク2曲、パウエル3曲等々ジャズ・ジャイアントの曲が並んでいます。
新人テナーなら歓迎できる内容ですが、豪快テナー・マンとして名を馳せているグロスマンとしては、華が無い演奏だね。薬中から完全に復帰していたはずの時期なのにね。乗りの良いアップ・テンポを並べてロリンズ張りの豪放テナーをプロデューサーは期待したのでしょうが、当てが外れてしまった盤。
しかしですね、箸休めで用意したスロー・バラッドが、良い出来。パウエルの名曲「I'll keep loving you」と、コルトレーンのためにダメロンが用意した「soultrane」の2曲がそれ。当外れの中に配置されているから、このバラッド2曲が余計に良く感じたのかもね。