ベースのレッド・ミッチェルとテナーのハロルド・ランドが1960年代に入ってクィンテットを結成しておりました。しかしながら短期間でその活動は終り、記録として残っているのは本盤だけとのことです。
ミッチェルのリーダー作はこのコーナー初登場なので、「新・世界ジャズ人名辞典」からその経歴を。
1927年にNYに生まれた彼は、最初はピアノを弾いており、アーミー・バンドではサックスも吹いていました。除隊後にはベース奏者となりましたが、時にはピアノも弾いていたようです。1950年代後半にはLAに活動拠点を移し、ハンプトン・ホーズのトリオに参加しながら自己のバンドも率いていました。1957年から1961年まではアンドレ・プレビンと行動しながら、数多くのスタジオ・ワークで引っ張りだことなっていました。その後1961年から翌年にかけてが、今日取り上げるハロルド・ランドとの活動。その後再びホーズと演奏し、1968年にはストックホルムに移り、フリーで活動しておりした。
さて本作品にはトランペッターとしてこの時期に脚光を少し浴びていたカーメル・ジョーンズが参加しております。そこも楽しみであります。
このクィンテットには軽快に明るくが似合っており、2曲目のアップテンポの「Rosie's Spirit」がその良い例。トランペット・ベース・テナー・ピアノと続く疾走感はたまらないもの。続くのはタイトル曲で、スロー・ナンバー。弓弾きベースが光っており、レッド・ミッチェルの優しさが感じられるものです。さてこの双頭バンド、あと何枚か作品を残していればもっと素敵な作品が残せたと感じましたし、そうなれば二人の名前はもっとジャズ・ファンの心に残ったことでしょう。