2016年7月1日掲載
Tony Scott          Gypsy
Signature原盤      1959年録音

 「今日の1枚」初登場のクラリネット奏者トニー・スコットさんの経歴を、「新・世界ジャズ人名辞典」から紹介します。
 1921年にNJに生まれたスコットはジュリアード音楽学院で学び、その後13年間バディ・リッチやベン・ウェブスター等と演奏し、1953年には一ヶ月間だけエリントン楽団にも加わりました。またビリー・ホリデイやサラ・ボーンに編曲を提供しておりました。1953年に自己のグループを結成し、クラリネット部門でポール・ウィナーになり、また世界ツアーを行うなど、大活躍しておりました。また1959年から6年間日本で暮らし、その後はインド音楽に関心を示すなどしていました。 

 この経歴を見ると本盤は日本行き前の録音と想像します。ジプシー・ローズ・マリーの自伝を基にしたミュージカル「ジプシー」から9曲取上げております。マンデル・ロウ(g),ジミー・ギャリソン(b),ピート・ラロカ(d)との演奏です。

 個人的にはコルトレーンに加わる3年前のジミー・ギャリソンの演奏に興味が湧きます。何しろこの作品はジャケ買いですから。

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 クラリネットなので落ち着き払った演奏かと思いきや、結構熱く演奏されています。リズム陣との絡みもあっており、気軽に楽しめる1枚になっています。
 ジプシーというミュージカルについては全く知りませんが、この中では「Little Lamb」の演奏が白眉でしょう。
 スコットはバラッド編とリズム編として2テイク続けての演奏となっています。バラッド編でこの曲自体を味わい、リズム編では熱きクラリネットを味わうという趣向です。

 ジャケ買いは成功でした。