「Shades Of Blue」から1年半後に吹き込まれた作品であり、この双頭クィンテットの最高傑作との誉れ高き作品です。メンバーは前作からピアニストが変わっただけです。しかもそのピアニストが、イギリス・ジャズ界の名手マイケル・ガーリックですから、聴く前からワクワクするメンツになっていますね。
さて、レンデル。以前も彼の経歴に触れましたが、ここで少し補足を。「Meet Don Rendell」吹き込み後に、ビリー・ホリデイの英国公演のサポートを務めました。1957年にはセクステットを結成するなど、多方面で活躍していたそうです。1960年に入ってからは革新を目指し、1961年に吹き込んだ「roarin'」では、コルトレーンの影響を強く感じさせるものだとか。そんな活動の後に、このイアン・カーとの双頭クィンテットを結成したのでした。
「Shades Of Blue」の魅力に、ブルース色が加わった内容。それとも、深みが加わったという表現が正解かな。また、アレンジにおいても、フリーっぽさが、見受けられます。日本においては、好事家の間だけで30年間語り継がれてきた盤ですが、一般ジャズ・ファンが聴いても名盤という肩書きに誰もが納得するでしょう。
相変わらずレンデルの曲作りが冴えてますが、感心したのはガーリックの曲作り。マイナーの「prayer」での、神秘の世界も良かった。そしてやはり、タイトル曲。素朴な曲調ですが、誰でも書けるメロディではありません。この素朴なメロディをレンデルはソプラノ・サックスで吹いており、それはコルトレーンを想起させるもの。しかし、アレンジでイギリスらしさというか、彼等らしさが表現されています。レンデルに続くカーのトランペットの激しさには、固唾を呑んで聴き入ってしまうもの。その後に続く、ガーリックのピアノもなかなかのもの。
実に良い作品であります。