新譜売残りで何故人気者のエリック・アレキサンダーの作品が中古コーナーにあったのだろうなどと考えながら調べて見たら、彼のリーダー作品はここに初掲載になりますね。ワン・フォー・オールを始めとして、ここに多数掲載したクリスクロス・レーベルの作品を通して、彼の演奏についてここで多く触れてきただけに、初掲載が少し意外でした。
ジム・ロトンディ(tp),ホロルド・メイバーン(p),ピーター・ワシントン(b),ジョー・ファンスワース(d)というアレキサンダーが度々共演を重ねてきた実力者との、クィンテット作品です。とは言っても、8曲中5曲はペット落ちのクァルテットですがね。曲は、メンバーのオリジナル中心で構成されています。
実質はテナー・ワン・ホーン作品と言え、僕にとって21世紀最初のテナー・ワン・ホーン愛聴盤だと言える内容です。
アレキサンダーのテナーは、テーマ・メロディを抜群の歌心で演奏し、直後のアドリブの出だしはスリル感を味わえる緊張感です。また、様々なタイプの曲が用意されており、どれも良いメロディ。さらにバックが実力者の名に恥じない好演とくれば、名盤の条件が全て整ってますよね。
どの曲もここで書きたい内容ですが、ピカ一は「estate」ですね。1977年にジョアン・ジルベルトが吹き込んで以降はボサノバの名曲というイメージが出来あがったが、もともとはイタリアン・バラッドだというこの曲。曲名まで意識して聴いたのは、今回が初めてです。この曲の名演奏はとの質問には、躊躇無くこの作品での演奏を、僕は取り上げますね。
多数の録音があるアレキサンダーについて多言出きる身ではありませんが、ここにきて彼は自身の演奏スタイルを、内面からしっかり確立したのではないでしょうか。兎に角みなさん、この作品に触れてみて下さい。