ここ半年の僕の愛聴盤の一つが、今日取り上げるブライアン・ブロンバーグの「ウッド」である。ここまで気に入れば、キング「低音シリーズ」の別の作品を買ってしまうのは、当然のことである。
さて、タイトル通りにジャコ・パストリアスに捧げた作品であり、ジャコの作品を中心に収められている。この作品は「ウッド」の翌年に長期間に渡って録音されているが、その要因はその録音内容によるものであろう。「ウッド」はウッド・ベースに重点を当てたピアノ・トリオ作品であり、その録音期間は従来のジャズ作品同様に数日間のものであった。かたやこのジャコ捧げ盤は、数多くのメンバーが参加している。これは、曲毎にミュージュシャンを選び、また多重録音を繰り返してのものと考えられる。
この作品への興味の主体は聴く人それぞれあるのであろうが、僕にとってはベースによる低音が主なのだ。その意味からすると、そんなに期待出来ない作品なのかもしれない。
なにしろブライアンの使用楽器として、ウッド・ベース/フレットレス・ベース/アコースティック・ピッコロ・ベース/エレクトリック・ベース/ナイロン・ストリングス・ピッコロ・ベース他となっているからだ。まぁ、聴いてみましょう。
「ジャコ・パストリアスの肖像」は1976年の作品だが、数多くのベーシストに影響を与えた作品らしい。ブラインもベースの練習に明け暮れていた16歳の時にこの作品に接し、多くの影響を受けたとか。
このジャコに捧げた作品でブライアンは、ウッド・ベースを基本にして、数多くのベース関連楽器をオーバーダビングしている。ジャコから受けた演奏面における影響を、ブラインはここに凝縮したかのようである。
また、ジャコの作曲者としての魅力も、この作品に詰っている。その白眉は、2バージョンの演奏が納められている「teen town」であろう。そのジャコの素敵な曲に負けじと、ブラインも「tears」という美しい曲を持ってきている。演奏面も曲の内容も素晴らしい1枚であり、聴いている1時間は堪能出来る作品である。
しかし、僕の愛聴盤になる予感が全く無いのは、個人の嗜好によるものであろう。