2004年4月16日掲載
Richard Davis      The Bassist
King原盤             1999年11月録音

 リチャード・デイヴィスというベース奏者に関しては説明不要であろうが、このコーナーで彼のリーダー作を取り上げるのは初めてなので、簡単に経歴を書いておこう。

 1930年にイリノイ州に生まれた彼は、1950年代の前半は地元の交響楽団に属しながら、ジャズの演奏も行っていた。その名前は知られる存在になっていたが、NYに本格的に進出したのは1960年に入ってからのことである。数多くのジャズ・マンと共演を行ったのであるが、最も知られており重要な演奏は、エリック・ドルフィーとのものであろう。その後も数多くのミュージュシャンから共演を申し込まれ、幅広く活動してきている。 1970年代半ばには地元に戻り大学の教壇に立ったのであるが、ジャズの活動は続けているそうだ。

 彼のリーダー作としてはミューズに吹き込んだ「エピストロフィー」が有名であり、僕の愛聴盤でもある。レコードで持っているため、なかなかこのコーナーで取り上げられないのが残念ではありますがね。

 さて、今日取り上げる作品の話にしよう。購入のポイントは、キングの低音シリーズであること。これだけである。ピアノのジョン・ヒックスとのデュオ作品だ。

20040416

 低音の魅力を期待して購入したのだから、ピッチカートによる弦の力強い響きを期待していた。しかし、その内容はアルコ中心のものであった。ジャズとクラシックの顔がるデイヴィスが、クラシックでの技術でジャズ曲を演奏していると言ったら、購入動機が裏切られた人間の僻みかな。

 そんな気持ちを抑えて聴いてみたところ、ヒックスとのコラボレーションに聴き所がある作品であることを認識した。ベースの巨匠が、滅多に無いリーダー作を吹き込む機会に、やりたい事を思い切って行った作品と言えるのではないか。