2018年10月8日掲載
Steve Lacy               The Flame
Soul Note原盤           1982年1月録音

 ソプラノ・サックス奏者のスティーブ・レイシーの作品を「今日の1枚」で取り上げるのは、これで5枚目になります。しかしながら前に取り上げた4枚は、1950,60年代のものでした。私は何故だか、1970年代以降のレイシーさんを避けていた所がありました。

 ウィキペディアによれば、レイシーのリーダー作はコ・リーダー作品も含まれば80枚以上になります。その中で1970年代以降のものは8割以上が占めております。思い起こせば、渋谷のジャズ盤専門店に毎週のように通っていた1980年代から1990年代初めまで、新譜コーナーにレイシーさんの作品をよく見かけておりました。

 パッケージメディア 一筋の私ですが、世の中では10年以上前からネットから音楽を入手することがメインとなりました。そして10年近く前から各レコード会社は手持ち作品の現金化を急ぎ、2つの流れが生まれました。一つは高音質を謳い文句にして、様々な形で通常より高い値段でCDを発売するもの。もう一つが廉価売り。特にドヤス箱物が多く発売されました。私はこのドヤス箱物に複雑な思いを浮かべていたのですが、それでもありがたいものもありました。例えばレイシーのソウルノート198年代の作品を6枚まとめて売られたもので、私が購入した値段は3000円ほどでした。

 そんなドヤス箱に収められていたのが、本作品です。 Bobby Few(p)とDennis Charles(d)との3人での演奏となる本作品のジャケは、個人サイトではよく見かけた作品ですので、本作を支持する人は多かったのではと思います。

20181008

 ドラマ性が無い、一本調子、このような意見はそれはそれで正解でしょう。しかし、ジャズの進むべき道、ジャズの可能性を追い求めているレイシーの姿を捉えた作品であり、そこに存在感があることだと思います。メンバー二人は私には縁のない方ですが、この時代に頑張っていた実力者。そんなメンバーでのこのトリオは、音の刺激と変化を感じられるものです。