フラーの作品はこの「今日の1枚」で5枚取り上げてきましたが、なんとこの作品を取り上げておりませんでした。フラーの代表的作品というよりも、ジャズの代表的人気作品と言えるものです。ゴルソン,フラナガン,ギャリソン,そしてアル・ヘアウッド(d)との演奏です。口ずさみながら聴くジャズの代表格作品です。
ジャズ喫茶は片面主義なので、ジャズ喫茶全盛期においては、この作品のA面だけを聴いていた人が多かったことでしょう。何しろ「Five Spot After Dark」の名演がそこにあるので、それは当然なことです。しかしB面も魅力満載であります。「Minor Vamp」というゴルソンの素敵なブルースに始まり、「Love Your Magic Spell Is Everywhere」という渋いスタンダード、そしてフラー作の軽いブルース「Twelve-Inch」と続く展開には、フラーとゴルソンという素敵な2管と強力リズム陣の繰り出す、歌心満載の魅力に酔いしれます。
私が初めてこの作品を聴いた時期は、コルトレーンばかり聴いておりました。その合間に聴く本作品の口ずさみ魅力に、聴き入っていた時期を思い出します。今では本作は5年に1度聴くかどうかでありますが、それは幸せな日になるものであります。