ボビー・ハチャーソンの名前を初めて目にしたのはドルフィーのアウト・トゥ・ランチだったと言ったのは、1960年代のジャズに直に触れていたお方でありました。このジャズ・ファンに強烈な印象を与えたヴァイブ奏者は、それから1年後にブルー・ノートに初リーダー作を吹き込みました。
ハバード,リヴァース,ヒル,ジョー・チャンバース,そしてリチャード・デイヴィスといった、新主流派の代表格の方々との演奏です。
これからジャズ界で一旗揚げようというメンバーが、静なる迫力で演奏しています。複雑な構成でありながら哀愁感ある「Idle White」での演奏が気に入りました。ヒルさんだけは自分の立ち位置に迷っているような演奏であり、これが残念でした。ハッチャーソンの作品は、駄盤は無いけれど名盤も無しと言われますが、このデビュー作のように、何度も聴きたくなる作品が多いお方です。