2017年12月2日掲載
Dusko Goykovich    Swinging Macedonia
RTB原盤           1966年8月録音

 このコーナーでは過去にダスコ・ゴイコヴィッチの作品を、6枚取り上げてきました。そんなダスコさんの出世作を、今日は取り上げます。

 先ずはこの作品、いろんなレーベルから1966年頃に発売されました。しかしながらすぐに廃盤となり、1983年にエンヤが権利を買取、再び世の中に登場したのです。エンヤと言えば、ダスコさんの大名盤「アフター・アワーズ」を製作した会社なので、これは自然な流れかなと思います。

 1960年代にジャズを時代体験された方の中に、この1966年作品を自分はその当時に聴いていたという方が、何人か居られるようです。しかしながらこの作品自体の発売枚数の少なさ、そして欧州盤など全く入荷していなかった当時の状況を考え合わせれば、後年のダスコさんの輝きによって、そんな方々は記憶修正されたのかと思います。

 ネイザン・デイビスやマル・ウォルドロンらと一緒に吹き込んだ本作を今日は聴くのですが、なぜ今まで取り上げなかったかと言えば、実はどのジャケにしようか迷っていたからです。私が最初に本盤を買ったのはエンヤからの1983年のことで、ジャケットは新しいデザインのものでした。それから7年ほどしてから、今度はオリジナルのジャケットで本作品が、怪しい会社から発売されました。私はそちらも買ったのですが、そのジャケットも本当にオリジナルなのかといえば、断言ができないものでした。それから30年近くたち、やはり多くの方が本盤を手にできたえんやからのジャケットで掲載することにしました。

20171202

 この時期は欧州ジャズがその魅力を開花させていました。1950年代のアメリカの模倣でスタートした欧州ジャズは、その時期を支えたミュージシャン達の活動を通して、独自の色合いを出していきました。管楽器とピアノの確かな技術力を背景にしながら、欧州各国の色合いがジャズに加わっていったことが、独自色を出し名作を生み出し続けた要因なのでしょう。

 そんな時期に吹き込まれた本作は、ユーゴスラヴィア出身のダスコの情熱的なスタイルが、多くのアメリカのミュージシャンの影響と相まって、実に楽しいジャズに仕上がっています。

またダスコの作曲力の高さも、特筆すべきものです。本盤ではダスコの名曲「老いた漁師の娘」が初披露されていますが、他にもダスコ作の素敵な曲が並んでいます。

 最後に加えるならば、参加ミュージシャンの好演と、それを活かしたダスコのアンサンブルの味わいが、この作品を愛されるものにしています。

 トランペット作品の代表盤として、これからも輝き続けるでしょう。