このコーナーには非常に縁が深いピアニストである、ピート・マリンヴァーニの新譜であります。1996年録音盤,1998年録音盤,2000年録音盤,2002年録音盤と、過去4枚彼の作品を取り上げてきました。そのどれもがリザボア・レーベルのピアノ・トリオ作品であり、今日取り上げる新譜も同様であります。
Dennis Irwin(b)とLeroy Williams(d)との録音です。
安心して聴けるマリンヴァーニ節が、詰まっている作品です。録音においてベースの音を前面に出すべきであり、ピアノも硬質な音で聴かせるべきだと感じましたが、何しろ録音は天下のジム・アンダーソン。ここは好みでしょう。
オリジナル曲『let the sea roar』は、実に綺麗なメロディの曲。辛さと美しさの微妙なバランスを、マリンヴァーニは聴かせてくれてます。またベース・ソロも、マリンヴァーニの世界を引き立てる存在になってます。スタンダード曲が良い選曲で配置されてますが、ポイントは4曲目と9曲目に収録されている『alone together』ですね。4曲目はソロで演奏されており、てっきり9曲目はトリオ演奏だと思いましたが、9曲目もソロ演奏。それぞれの曲を聴けば感心する出来なのですが、何故同じ曲を、しかもソロというフォーマットで2回も演奏しているのかは、最後まで分からなかったです。
そんな思いを持ちながら、マリンヴァーニのエッセンスを凝縮したかのよな『it could happen to you』で、この作品は終わってます。