2018年11月1日掲載
Bud Powell                Blues For Bouffemont
Black Lion原盤           1964年7月録音

 今日から4枚、何故この作品を「今日の1枚」に掲載していなかったのか、との作品を取り上げていきます。

 パウエルのパリでの生活の模様は、特に最後の年の1964年の姿は、かつてここで4枚取り上げてきました。今日取り上げるのは、8月16日にNYに戻る2週間ほど前の演奏を納めた作品です。

 タイトルにあるブフェモンとは、パリから北へ25km、モンモレンシーの森の隣にある街です。パリ滞在中にパウエルは、この地にある療養所にいたことがあるそうです。「Blues For Bouffemont」という曲は、恐らくそこでパウエルが作ったものなのでしょう。

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 私は全盛期パウエルを好きですが、それ以降パウエルも大好きです。神業パウエルと人間パウエル、どちらも好きです。この作品を聴いていると、人間味あふれるパウエルさんの姿が目の前に浮かんできます。この録音時期は40歳目前のパウエルさんですが、中身の濃い人生を感じさせます。

 私は国内CDを1989年に買ったのですが、封入解説を書いているのは佐藤秀樹さんです。タイトル曲に関して、「ブルースを好んで弾いたように思えない彼だが、淡々とした雰囲気に中に自分の心境を綴ったかのような演奏である」と書いてます。今回この作品を聴いて私は、この通りのことを感じました。