2003年6月10日掲載
Bud Powell              Earl Bud Powell Vol.10
                                (Award at Birdland,64)
Mythic Sound原盤              1964年録音

 このパウエル集の発売から1週間が経過した渋谷ジャロさんには、購入者からの感想が続々と寄せられていました。パウエル狂でもない僕にとっては、熱弁を振るう姿を横目で見るだけでしたが、頷けた意見は音質。前に触れた通りに、渋谷ジャロには「音質最高。店主試聴済み」との文句が貼ってあったのです。恐らくは第4集が試聴用として輸入代理店から渋谷ジャロさんに提供されていたのであろうな。

 当然ながら第4集とて、この手の発掘盤としては音質が」良いということなのですが、10集全てを通して見れば、厳しい音質のも多々ありました。渋谷ジャロでは何も無かったように、「音質最高。店主試聴済み」という張り紙を外したのでした。

 さて、最後の第10集。第9集の翌日に同じバードランドで、同じメンバーで吹き込まれたものです。

20030610

 「like someone in love」と「star eyes」での穏やかさは、涙モノでした。なかなか充実した第10集です。フランシス所有音源を続けて聴いてきた訳ですが、巨星の音楽活動を全て網羅したような内容でした。また、ビ・バップから始まって、麻薬での活動停止期間を経て復帰し、活動を欧州に求めて、というようなこの時代のジャズ・マンが歩んだ道を全てにおいて高水準で突っ走った内容であり、ジャズの歴史とも言える内容でした。

 年齢的にはまだまだ活躍出来るパウエルですが、ジャケットで賞状を送られ微かな笑顔をみせている姿から2年後には、永久にその活動を止めてしまったのです。