トム・キャットと言って誰でも思い出すのは、F14A戦闘機。1960年代生まれならば、「振られ気分でロックンロール」(おっとタイトル合っているかな)である。
さてジャズ・ファンが、今日取上げるリー・モーガンのこの作品を思い浮かべるかは、いささか疑問である。録音時期は、大ヒット作品である「サイドワインダー」の翌年のものであり、「サーチ・フォー・ザ・ニュー・ランド」と「ザ・ランプローラー」の間にあたるもので、モーガンはJMでバリバリの活躍をしていた時期なのである。しかもこの「トム・キャット」のメンバーは、マクリーンにフラーとの3管、マッコイとクランショウ、そして御大ブレーキーである。
こんなに有名盤条件揃っていてもジャズ・ファンに何故この作品が思い出されないかといえば、お蔵入りになった作品なのだ。そしてブルー・ノートがリバティ傘下になった1970年代に発売されたものなのだ。僕が持っているのは、1990年代にCD化されたものです。
1曲目のタイトル曲は、リフ・ブルースで、モーガン・マクリーン・フラー・マッコイの順にソロを取る内容なのですが、全員が熱演であり、特にモーガンの突っ張り具合はなかなかものです。これをお蔵入りに出来るブルー・ノートに感心したのですが、全体的に時代への迷いも感じられます。ファンキー、新主流派の息吹き、これらに感心を示しながらも、少し中途半端な内容とも取れます。
新作発売計画目白押しであったブルー・ノートの状況下で、この盤と前後2作と比べての、この盤の発売見送りだったのでしょうね。