2018年6月1日掲載
Bobby Timmons         This Here
Riverside原盤              1960年1月録音

 持っている作品の整理にもなるだろうというのも、約20年前にこの「今日の1枚」を始めた理由でした。今持っているCDの約7割は「今日の1枚」開始前に購入したものです。LPは別にして、これらのCDは殆ど掲載済みなのですが、それでも未掲載の作品もあります。

 6年ぶりに「今日の1枚」を再開した2015年9月からの掲載作品は、大きく二つに分かれます。2011年頃に購入した廉価CDであります。この時期は、2度目のマレーシア駐在でした。そしてその時期は各レコード会社が契約上所有している作品の現金化のために、多くの作品を1000円ほどで販売していました。それらをアマゾンで注文しながら、一時帰国の度に受け取っておりました。二つ目は、掲載せずのままであった「今日の1枚」開始前に購入した作品です。特にその中でも昨年末あたりからは、未掲載になった理由がわからない作品を取り上げています。今月もそんな作品を取り上げるのですが、それらはなぜ未掲載なのか理解できない、自分ではとっくに掲載していたと思い込んでいたものです。

 今日取り上げるのは、ボビー・ティモンズの代表作であり人気作であるピアノ・トリオ作品です。ブレーキーのバンドで知名度を得て、キャノンボール・アダレイのバンドで名声を得たティモンズは、ソウルフルなピアノと共に、作曲家としても一流の結果を残してきています。

 本作はアダレイのバンドに移ってから初のリーダー作品であり、サム・ジョーンズとジミー・コブとの演奏であります。
 「今日の1枚」でティモンズの作品を取り上げるのは、これで5枚目になります。

20180601

 ティモンズが作ったブレイキー時代の名曲「Moanin'」、そしてアダレイ時代の名曲「This Here」での演奏は、耳に残りやすい曲作りの巧さと、楽しくドライブするブルースフィーリング溢れるピアノにワクワクするものです。ハードバップ時代の人気ピアニストの姿が、そこにあります。

 そして恐らくはレコーディングではこれが初演となるティモンズ作の「Joy Ride」では、ビ・バップの空気を感じさせる演奏でありました。他の人が作った有名曲でもそうなのですが、ティモンズの間口の広さに感心しながら、楽しく聴き終えたピアノトリオの名盤でありました。