1974年6月の当時の西独のメールスで行われた第3回ニュー・ジャズ・フェスティバルには、アンソニー・ブラクストン,スティーブ・レイシー,そしてピーター・ブロッツマンなどといった錚々たるメンバーが出演していました。その中に山下トリオが参加しており、今日取り上げる作品は、このジャズ祭りで4曲の中から2曲を収録した作品であります。
山下トリオをこのジャズ祭に読んだのは、ホルスト・ウェーバーでした。エンヤ・レーベルの共同設立者でもあるウェーバー氏は、以前から山下トリオの演奏に接し、高くそれを評価していたそうです。
この時期の山下トリオは第二期であり、坂田明と森山威男がそのメンバーです。
この日の演奏曲順は、「ミトコンドリア」「ミナのセカンド・テーマ(収録曲)」「クレイ(収録曲)」,そしてアンコールの「グガン」とのことです。
「ミナのセカンド・テーマ」で聞こえる拍手からすると、観衆は50人ほどかと感じました。しかし「クレイ」では500人ほどであります。恐らくは日本から来たミュージシャン、こいつらは何?、が「ミナのセカンド・テーマ」での観衆の気持ちだったのでしょう。しかしその観衆は、こいつら凄いや、との気持ちになり、「クレイ」でノックアウトされたのではと思いました。
そんな山下トリオの演奏は、ピアノのぶっ飛びと、それをサポートするかと思いきや鼓舞するかのドラム、ここが柱なのでしょう。ドラムの森山は一期から参加しているため、すでに山下とは相性抜群であります。そこにミトコン坂田のクレイジー振りが加わり、西独の客を圧倒していった、そんな瞬間を、この作品は伝えてくれます。