「今日の1枚」で冨樫雅彦の作品を取り上げるのは、これで2作目になります。前回の1986年録音盤は新譜として購入したものでした。今回の作品は私がジャズを聴く前、というより音楽好きになりたての少年時代に、厚生年金会館小ホールで行われたライブであります。
渡辺貞夫(fl,sn,as)・鈴木重男(fl,ss)・中川昌三(fl,bfl)・佐藤允彦(p,marimba,glockensiel)・翠川敬基(cello,b)・池田芳夫(b)・中川正治(per)・豊住芳三郎(per)・田中昇(per)と、大人数での演奏であります。
冨樫にとっての不幸な事件は1970年のことですので、この演奏が録音された時は、彼独自のドラムセットを使っている時期になります。
単調に見える川の流れは、実は様々な場面の連続で成り立っている、こんなことが頭の中に浮かんでくる内容です。観光名所では全くないけれど、自然の醍醐味を味わえる森と川の空間にいるような気分になります。
冨樫のドラムが特段目立つわけではなく、各楽器が効果的な演奏をしております。その中でもベースが重要な役割をしておりました。冨樫はこの40分弱の演奏の全体構成に力を注いだのでしょう。
最後に余計な話を2つ。拍手が入っていないので、録音場所が厚生年金会館小ホールだったということなのでしょう。
もう一つが、清水俊彦氏の解説。無理に難しく文章を作っているようで、最後まで目がついて行きませんでした。
余談はともかく、情景が浮かぶかどうか、私にとってのフリージャズの分かれ目かなと、再確認した次第でした。