ミンガスがドルフィーを引き連れての1964年4月の欧州ツァーは、いろんな形でライブ盤が世の中に登場いたしました。私もLP・CDで何枚も持っており、この「今日の1枚」ではCD3種を取り上げてきました。
この1964年4月10日から18日までの欧州ツァーの前には、このバンドで本国アメリカで演奏活動をしていたのです。この年の早い時期に「ファイヴ・スポット」で演奏しており、その後に東海岸を中心にいくつかのコンサートに出演しました。そんなアメリカでの活動の模様は、4月4日のタウン・ホールでの演奏しか発売されておりませんでした。それが今から10年前に、3月18日にコーネル大学での演奏が発売されたのでした。
クリフォード・ジョーダン(ts),ジョニー・コールズ(tp),ジャッキー・バイアード(p),そしてダニー・リッチモンド(d)という、ミンガス・バンドお馴染みのメンバーでの演奏です。
3管を中心としたメンバーが、自分の個性を発揮しながらも、ミンガス色で演奏していく姿は流石との一言です。ミンガスの求心力と各ミュージシャンの力量があって、成し遂げられることでしょう。バンドリーダーとしてのミンガスの存在感で、CD二枚組をあっという間に聴き終えました。その中で、やはり白眉なのは、1959年以降ミンガスの最重要レパートリーである「フォーバス知事の寓話」でしょう。ここではまさに先の魅力が全開といった演奏になっています。
3管の録音バランスがバラバラとかの不満点はありますが、よくぞこの作品を世に出してくれたと、感謝しています。
最後になりますが、これはドルフィーがなくなる3ヶ月前の演奏、聴き惚れる演奏です。