ミンガスは、ドルフィー入りのシクステットで、1964年4月にNYで2度公演を行いました。コーネル大学とタウン・ホールでの演奏で、それらは正式作品として後年世に出ました。
このNYの公演の後にこのシクステットは欧州に渡り、4月10日のアムステルダムを皮切りに、4月28日までに欧州を縦断して12回の公演を行ったのです。それらは数多くの海賊版を通して、世の中に紹介されております。このことは、内容の良さと共に、ドルフィー参加がその人気の決め手でしょう。
このノルウエーでの演奏はアムステルダムの後、4月12日に行われたももの。他の参加者は、Johnny Coles(tp)、Clifford Jordan(ts)、Jaki Byard (p)、Dannie Richmond(d)であります。
「so long」という英語は、砕けた感じでの別れの挨拶。ミンガスが作った『so long Eric』と言う曲は、陽気で楽しい曲。命名の由来は定かではないが、たまたま口にした「エリック、じゃぁな」というのを、そのままタイトルにしたのでしょう。気軽に楽しげにメンバーのソロが展開されていきます。ピアノの後のエリックのアルト・サックスでのソロは、軽快で愉快なもの。
貴重なこの欧州公演での演奏は、音の悪さなど吹き飛ばしてしまうものです。ミンガスの定番である『フォーバス知事の寓話』が入っていないのは、他の曲をたっぷりと聴ける良さとともに、一抹の寂しさを感じます。