アート・アンサンブル・オブ・シカゴは、私にとって重要な存在のジャズ・グループです。過去に3枚、1995年,2001年,そして2003年の作品を取り上げてきました。しかしながら他の20枚ほどについては、どのように「今日の1枚」で取り上げるか悩み、結局放置状態のままとなりました。理由の一つは、LPで持っている盤が多いこと。これは何度も書いてきましたが、レコードを聴ける状態にしないことには、取り上げることが出来ません。二つ目の理由は、このグループを順序立てて紹介したいと考えていたこと。これについては今気がついたのですが、私自身がこのグループについてよく掴んでいなことであります。「書いてこなかった」のではなく、「書けなかった」が正解だったのです。
今日から8枚続けて、彼らの作品を紹介していきます。彼らの歴史などの難しい話は抜きにして、彼らの音から感じ取ったことを素直に書いていきます。
まず最初に取り上げる本盤は、パリ時代の作品です。活動の場を欧州に求めてパリに移住した彼らが、その最初の時期に吹き込んだ作品です。メンバーはドン・モイエ参加前ですので、レスター・ボウイ,ロスコー・ミッチェル,ジョセフ・ジャーマン,そしてマラカイ・フェイバースの4人であります。
恐らくは簡単なスケッチを決めて上での即興演奏なのでしょう。これを可能にしているのは高い演奏力と、相手の音をしっかり聴き対応していく力だと思います。ここがこけている演奏は独りよがりのデタラメ演奏となっていくのでしょう。この時代のAECは大量のレコーディングを行っているようですので、この作品に収録されている4曲は、アルバム全体の色合いを考えて選ばれた曲なのでしょう。その色合いとは日常生活に潜む邪心なのかなと、感じました。
このパリ時代には、ここでかつて(2006/2/10)取り上げたブリジット・フォンテーヌとの作品があります。また取り上げてはおりませんが、この4人での活動開始初期のネッサへの録音を納めた4枚組CDを、私は持っております。いつかここで紹介したいと思います。