2017年9月10日掲載
Grachan Moncur Ⅲ          Evolution
Blue Note原盤                   1963年11月録音

 モンカーの初リーダー作品を今日は取り上げます。2作目の「Some Other Stuff」をここで取り上げた際に、彼のファーストネームの発音の仕方に言及しました。そこでは触れなかったのですが、私の頭の中では今でもグラチャンと読んでいます。勿論、間違いですが、最初にその発音に接してしまったので、既に30年以上グラチャンであります。モーガン,マクリーン,ハッチャーソン,クランショウ,そしてウィリアムスとの演奏のグラチャン初リーダー作を楽しんでみます。

20170910

 この録音の半年前に、マクリーンのグループによる「One Step Beyond」が吹き込まれており、主要メンバーが本作に加わっていることもあり、本作の「One Step Beyond」からの影響は明らかなことであります。

 一部の方からは、本作の実質上のリーダーはマクリーンである、との主張がなされています。確かに3管の中でのマクリーンの存在感には重たいものがあります。しかしながら、私は本作は明白にモンかーのリーダー作だと感じています。全4曲がモンカー作であるのですが、その中の「Monk In Wonderland」での独特の間の取り方は、マクリーンのものではなく、モンカー独自のスタイルであります。この辺りは本作に対する細かなこととして、1960年代ジャズが進行形である中で、本作の存在感には重たいものがあります。BN4000番台の中の重要作品と言っても、過言ではありません。

 録音時のメンバーの年齢を若い者から記すと、ウィアリムス18歳,ハッチャーソン22歳,モーガン25歳,モンカー26歳、クランショウ30歳,そしてマクリーンが31歳であります。どの時代でも、どの分野でも、壁を蹴破っていこうとするのは若い人達なのだと感じて、本作を聴き終えました。