フルート奏者のハービー・マンは、世界中のあらゆるリズムやメロディに興味を持ち、それを吸収して自分の音楽に反映させていった方とのことです。本作への参加メンバーを見ると、ドラムの他にコンガやアフリカン・ドラムを加えており、ハービーの姿勢が反映されたものになっています。
さて私にとってのハービーさんは、1958年録音の作品と本作だけであります。この1958年録音盤はオールスター・セッションで、名義上ハービーさんがリーダーなので、実質的リーダー作品は、今日取り上げる大有名盤だけとなります。アトランティック・レーベルだけでも本作品以降に30枚以上のリーダー作がある多作家・人気者なのですが、私にはお祭り男とのイメージで距離を置いていたようです。
ベースとドラムで作り出している世界は、コルトレーンとドルフィーのヴィレッジ・ヴァンガードでのそれを思い出させるものです。やはり、リズムとメロディを幅広く吸収して行った人達が、たどり着くものなのでしょう。しかしながら、ヴァンガードでのコルトレーンは精神性の追求、一方でゲイトのハービーはポップ色を加えながらと、その取り組みが違っています。これは、両ライブ・ハウスの違いを表しています。さてハービーの本作品ですが、大有名曲とスタンダード2曲で構成されており、じっくりと聴くのも良し、軽く聞くのも良しとの内容になっています。フルート作品の代表盤として聴き続けられるものです。