2017年9月8日掲載
Philly Joe Jones     Showcase
Riverside原盤                  1959年11月録音

 英語版wikipediaによれば、フィリー・ジョー・ジョーンズのリーダー作は、13作品あります。そしてその下に書かれているサイドマンとして参加した作品は、多くの著名なミュージシャンの多くの作品が挙げられております。

 ジャズ聴き始めの方が真っ先に名前を覚えるドラマーと言ってもいいフィリーさんは、ジャズ黄金期のファーストコール・ドラマーでありました。1985年に亡くなるまで活躍されましたが、上記のようにリーダー作が13枚と、私には少なく感じます。しかもその半数は1970年代からのものですので、ジャズ黄金期にもっと多くの作品があっても良いのではと、感じてしまします。

 今日取り上げる作品は、ブルー・ミッチェル(tp),ジュリアン・プリースター(tb),ビル・バロン(ts),そしてペッパー・アダムス(bs)の4管を従えての演奏であります。

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 4管が思いっきり吹き、ドラムソロ多めの演奏というのがこの作品への期待であろうし、それはプリスター作の「Battery Blues」とバロン作の「Minor Mode」で素敵なハードバップ演奏として成果が出ております。ここでは作曲者の管奏者にアレンジを任せていたのではと思います。

 その一方でフィリー作の曲での演奏となると、メンバー同士でのバラバラ感があります。もしここではフィリーが仕切っていたとしたならば、バンドの統率力という意味では、フィリーさんに欠けているものがあったのではと思いました。

 さて不思議な演奏が1曲あります。フィリー作の「GWEN」は、ピアノトリオで演奏されています。そしてクレジットには、ピアノはフィリーさんとなっています。ライナーを読むと多重録音を示唆する記述があるので、フィリーがピアノとドラムと思ったのですが、ブラシ多用のドラム演奏にはフィリーさんの雰囲気が感じられません。フィリーのピアノ演奏は余興としても、ドラム演奏は決めて欲しかったのですが、まるで別人のようです。ならば誰なのか、多重録音とするならばベースのギャリソンなのか、しかしギャリソンにドラム演奏させる意味は無いし。この1曲だけで余計な考えに時間を割きましたが、演奏としてはフィリーのドラムの魅力を堪能できる作品となっています。