自分が時を共にしていった音楽には、格別の思い入れがあります。ロックで言えば、パンクやレゲエの波を浴びて過ごした10代後半は、私にとって格別なものです。何しろ、ボブ・マーリーやクラッシュのステージに接したのですからね。
さてAECですが、私がジャズを聴き始めて5年ほど経った時期に、彼らは日本のDIWに立て続けにレコーディングを行いました。私は発売と同時に聴いていた、AECのDIWでの作品が大好きであります。
その最初の作品は日本でのライブ盤ですが、そちらはLPで持っているので、またの機会に取り上げます。今日から7枚、DIW時代のAECの作品を発売順に取り上げていきます。
今日取り上げる作品は、企画モノであります。その経緯を青木氏の解説から引用します。「Ancient To The Future, Jazz, Blues, Rock, Reggae, Spiritual, Avant-Garde,…」とのジョセフ・ジャーマンのアナウンスが、日本ライブの最後にありました。そこでDIWはAECに、先ずは「Ancient To The Future」をテーマにオリジナル組曲をかきおろ紙、上記アナウンスの各カテゴリーから1曲づつ選んで、1つの作品に仕上げていくとのものでした。何しろAECに他人の曲を演奏しろとの提案ですので、何度もののやり取りを通じてAECが本企画に意欲を示し始めたとのことです。
選ばれた曲は、エリントン,オーティス・レディング,ボブ・マーリー,ジミ・ヘンドリックス,そしてフェラ・クティの曲でした。
フェラ・クティは詳しくありませんが、他の4人は素敵なメロディ・メーカーであり、独特のリズム感を持った方々です。AECがこの方々への曲について最大限に関心を配ったのは、この2点でありましょう。AEC独自の色付けをしながらも、オリジナルの持ち味を生かした演奏になっております。またこの意味合いはAEC作の組曲にも現れております。またAEC各メンバーの楽器の音色の美しさも、特筆できるポイントです。タイトル名は「古代から未来へ」との訳が標準なのでしょうが、私には「魅力は永遠に」との言葉が、演奏を聴いて思い浮かびました。日本のレコード会社の企画で私が絶賛できる、数少ない作品であります。