2017年10月3日掲載
Art Ensemble Of Chicago  The Alternate Express
DIW原盤                              1989年1月録音

 シカゴの中心地にあるスタジオCRCは、タイ料理,バーベキュー料理,メキシコ料理,スペイン料理,そして味噌ラーメンといった、各種料理店に囲まれております。この作品が録音された28年前の状況は分かりませんが、きっと各国料理店がひしめいていたのでは。

 さてそんな場所にあるスタジオにAECは、5トンを超える楽器機材を持ち込んだとのことです。クレジットを見る限りでは、100kgあれば十分と思ってしまいますが、それは内容を聴いて確認いたします。ジャーマンを除くメンバーがそれぞれ曲を持ち寄っての演奏です。

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 AECのパーカッシブな魅力が爆発しているのが、「Kush」であります。これはモイエとフェイヴァースの共作となっています。クレジットではフェイヴァースはベース演奏となっていますが、ここではパーカッションも演奏していると思います。20分を超えるこの曲では、パーカッションの効果が存分に発揮されており、それに乗る管楽器3人のフリーキーさを生かしています。

 Kush、クシュを調べてみますと、インド麻と、ナイル川流域で最も早くに発達した文明の2つがあります。ここでは後者の意味なのでしょう。そう考えるとシカゴは五大湖周辺にあり、アメリカで早くに発達した都市であります。何かこの、アフリカ大陸と北アメリカ大陸で重要な都市・文明を、AECの演奏が繋げているような演奏にも聴こえてきます。シカゴ中から5トン分のガラクタをスタジオに集めて打楽器に変えての、演奏のようであります。