第1弾が黒人偉大ミュージシャン達の曲に挑んだ作品、第2弾はセイル・テイラーを迎えてモンクに捧げた作品、というようにAECのDIWにおけるドリーミング・オブ・マスターズというシリーズは進んできました。そして今回はその第3弾、コルトレーンに捧げた作品となっています。モンクを取り上げたのだからコルトレーンを取り上げるのは、このシリーズのテーマからして、AECにとっては当然のことだったのでしょう。全10曲中コルトレーンの作品は。「Impressions」,「Naima」,そして「Spiritual」の3曲だけというのも、前作と同じ態度での作品作りであります。
AEC全メンバーは音楽活動開始時には、コルトレーンの音楽を全身で浴びていたと思います。そんな彼らが、縦横無尽な音楽活動を続けて23年経った時点で改めてコルトレーンを振り返って作られた作品であることが、この作品の隅々に詰まっています。
コルトレーンが生きていればどんな音楽となっていたのであろうとの考えは、誰もが持つものでしょう。AECが、彼らならではの答えをこの作品で示してくれています。これは、コルトレーン・スタイルを模倣するミュージシャンだらけの中で、コルトレーンの精神に自分の中で向き合っていったものになっています。ジャーマン作の「Ornedaruth」の演奏に上目遣いのコルトレーンを見たのは、私だけでしょうか。