トランペット奏者のアヴィシャイ・コーエンは、本作シリーズの第一弾は、残念ながら私はまだ入手出来ずにいます。この第二弾は第一弾と同日に録音されたものだそうです。Omer Avital(b) と Nasheet Waits(d) との、トリオでの演奏です。
Triveni (Sanskrit): the meeting point of three sacred rivers ; two physical rivers, Ganges and Yamuna, and the invisible Saraswati River. (サンスクリット語で書かれています)
(トリヴェニとは、三つの神聖な川の合流地点のことです。二つはガンジス川とサラスヴァティー川、もう一つは見ることはできないサラスヴァティーの川です)
これは内ジャケにある文章です。ちなみにウィキペディアによればサラスヴァティーとはヒンドゥー教の女神のことで、日本では七福神の一柱、弁才天(弁財天)として親しまれているとのことです。
さらに内ジャケには、アヴィシャイの次の言葉があります。
Upon entering the studio, I had one objective in mind: Staying true to the music. I wanted to recreate the feeling I get when I listen to Billie Holiday: a feeling that's pure, simple. and honest...
(スタジオ入りに際して、私は一つの目的を考えていました。それは、音楽に忠実であり続けることです。純粋で純真、そして正直に。ビリー・ホリディを聴いた時のこの気持ちを、ここで再現したかったのです)
こんな意味と気持ちで演奏された作品を聴いてみます。
トランペット、ベース、そしてドラムスでの演奏の一体感が、一時間ほどの収録時間の中で継続しています。とにかく三つの楽器から生まれてくる音の切れ味の良さ、そしてその重なりに圧倒されました。
シャイな人間の優しさ、そんなトランペットが素敵です。純粋で純真、そして正直、こんなアヴィシャイの姿がある作品です。
さてこの「Triveni」ですが、三部作とのことです。その三作目は、この「今日の1枚」で2020年10月9日に取り上げました。一作目と二作目は2009年の録音ですが、三作目はそれから四年後の録音、しかしメンバーは同じ、そして内容も秀逸でした。