「The East」とは東部、東洋を意味しますが、ここでは東洋との意味なのでしょうか。広義の意味の東洋の場合は、トルコから東を指します。
ジャケでアヴィタルが身につけているのは、暑い地域でよく見かける物ですが、この作品への関連があるのかもしれません。このジャケのアヴィタルは、修行に励んでいる姿にみえます。
先に取り上げた「Arrival」と同時期の録音作品ですが、共通しているメンバーはトランペットのアヴィシャイ・コーエンと、サックスのジョエル・フラームだけです。
Avishai Cohen(tp), Joel Frahm(sax), Omer Klein(p), Daniel Freedman(d)との演奏のクインテットでの演奏、NYにあるLeon Dorsey's Studioでの録音です。
波乱に満ちた人々の生活の姿、過ちと成長を繰り返し、喜怒哀楽の中で生きていく姿、そんなことをアヴィタルは見事に描く方で、その魅力は本作品にも詰まっています。また各楽器の活かし方もお見事で、五人の演奏ながら重厚なオーケストラを聴いているようです。
音楽を聴く限りでは中近東の雰囲気かとも感じながら、やはりアヴィタル独自の世界だと納得しながら、聴き終えました。
最後にある「Bass Meditation」は、ピッチカートでのベース独奏です。5分半のこの演奏には、「on the possibility for peace in the Middle East」との副題があります。この副題の意味するところを何となく感じ取れた私は、アヴィタイはいずれにはベース独創でのアルバムを発表するのではと思いました。